君とサクラを ★★★★8
記憶喪失の青年・一ノ宮宗助。
ふと起きた、院内の不穏な空気……。
死の予感……。
病院からの脱出を目的とした一本筋のADVノベル。
あらすじは非常にあっさりとしており、単なる脱出ゲームのような印象を受ける。
とあるノベルゲーサイトのレビューで高評価だったことで前から興味を持っていた。このゲームの感想はネット上には非常に少なく完全に埋もれている。
この作品はいつものADVながらマルチシナリオ形式をとっており、それぞれのシナリオは2時間程度で、全部合わせると10時間の分量になる。
自分がこの作品で関心したのは、作品全体にかけられたトリックはもちろんそうだが、終盤で明かされる真実で思わぬ感動的なラストをもたらしたことだろう。
伏線回収に優れたシナリオであり、ネタバレできないため詳しく書けないが、かのシュタインズゲートやEver17に比肩しうるシナリオだった。
シナリオ面では褒めるところしかない傑作であるが、欠点も存在する。まずグラフィック面では立ち絵が安定しておらず、表情差分も少なく、とくにサスペンス的な要素の多いこの作品では盛り上がりに必要だった。
システム面もADV専用のソフトでないためか、色々と不具合もあった。
これらの欠点があってもなお、シナリオ面だけで評価★★★★8までいったのは確かで、欠点を改善させてリメイクされていたら★★★★★10になっていたかもしれない。
そして注意点として、ウディコンサイト上の作品ページにダウンロードリンクがあるが、現在はリンク切れになっている。
このため、上の画像のように、サイト上部の別リンクでミラーサイトが用意されている。